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培養室ブログ
2020.09.05

【設備技術紹介】アシステッドハッチングのお話

今回は凍結した受精卵を移植する前に行っているアシステッド・ハッチング(以下:AHA)についてお話します。

卵子の周りには透明帯と呼ばれるタンパク質の層があり、栄養の供給や受精時の精子との反応など様々な役割を担っています。受精の成立後、受精卵は成長と共に胚盤胞という形に変化していき、最終的には透明帯を破いて中身がハッチング(孵化)し、子宮内膜に着床します。すると妊娠が成立するのです。

ですがこの透明帯は、凍結を行うと硬化してしまうという報告があります。

そこで登場するのがAHA(孵化補助法)になります。

移植当日、受精卵を融解した際に、透明帯に人工的に切り込みを入れることでハッチングしやすくするのです。

当院でのAHAの方法は2種類あり、1つはPZD(ニードル)によるAHA、もう一つはレーザーによるAHAです。ではこの2つを見ていきたいと思います。

① PZDピペットによるAHA

この方法はPZDピペットという針状になっているピペットを、透明帯と胚盤胞本体の隙間に穿刺します。そして写真のようにホールディングピペットと透明帯を擦り合わせることでT字切開する方法です。

② レーザーAHA

この方法は収縮している胚盤胞の透明帯にレーザーを照射し、断面に切開します。透明帯のみにレーザーを照射するため、胚盤胞本体が傷つく心配が少なく、安全性が高い方法です。

当院では、第一選択としてレーザーAHAを選択しており、融解直後に胚盤胞が拡張し、透明帯と胚盤胞本体との間にレーザー照射するスペースがない場合にのみ、PZDピペットによるAHAを行っています。

凍結でも透明帯は硬化しますが、年齢が高くなるにつれても硬化や肥厚が起こり、ハッチングの障害となってしまうのです。ハッチングできなかった胚盤胞はそのまま力尽きて変性してしまい、またハッチングに時間のかかった胚盤胞は着床のタイミングを逃してしまい妊娠に至らないケースもあります。AHAを施行しておくことでハッチング率の向上が期待できるため、当院では凍結融解胚移植時には全てAHAを施行しております。

 培養室では、着床へと繋がるよう最善の努力をさせて頂きます。

一つ一つの技術が妊娠への架け橋になりますよう、今後とも精進して参ります。またご不明点などあるかと思います。その場合には、気軽に聞いて頂ければ幸いです。

*当院のyoutubeチャンネルにもAHAに関する動画がございます。是非一緒に参照ください。《リンクはこちら》