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培養室ブログ
2020.07.02

【設備技術紹介】エンブリオグルーについて

 エンブリオグルー (EmbryoGlue/Vitrolife社製) は卵子・精子・胚を培養する培養液の種類の内、胚を移植するために作られた胚移植用の培養液です。

 当院では凍結した胚盤胞を融解後、胚の回復培養と移植のための培養液として使用しております。 移植用培養液ではありますが、組成は採卵後培養3日目から使用される胚盤胞用の培養液と同じ栄養豊富な成分が入っており、そこにヒアルロン酸が添加されているものになります

  

 

 ヒアルロン酸は皮膚など体中に存在しており子宮の中や子宮卵管、卵巣内にある卵胞の中にも存在している物質です。このエンブリオグルーはヒアルロン酸を添加することで胚が子宮内膜に着床しやすくする効果を目的としています

  

では、エンブリオグルーは実際に子宮内でどのように働いているのでしょうか。

  

 まず、胚移植時に子宮内にカテーテルで胚と一緒に少量のエンブリオグルーが入ります。移植前に胚にエンブリオグルーを浸潤させているため、胚の表面をエンブリオグルーが覆っている状態です。

 胚表面のエンブリオグルーは粘性の性質を持っています。その性質により子宮内膜を覆う子宮分泌液と交わり、胚は子宮内膜に近づいて子宮の中(子宮腔内)にとどまります。

 子宮内にとどまっている間、胚は成長を続け透明帯という殻から胚の中身全体が出てきます。(胚が孵化する状態をハッチングといいます)

 

 中身が露出した胚の表面と子宮内膜表面にはヒアルロン酸に結合するCD44受容体という小さな突起が存在していて、ヒアルロン酸とくっつく性質を持っています。つまり、胚の表面のCD44受容体、ヒアルロン酸、子宮内膜の表面にあるCD44受容体がつながることで内膜と胚を接着させます。

 もちろん、子宮分泌液にもヒアルロン酸が自然に含まれていますがエンブリオグルーはヒアルロン酸を高濃度に含むためヒアルロン酸の供給がよりスムーズに行われ、接着が上手く行われるのです。そして胚は子宮内膜にとりこまれ着床がはじまる…という仕組みです。これにより、エンブリオグルーは子宮内膜との接着を促すことが出来るのです。

 

 また、エンブリオグルーを使用した検証ではヒアルロン酸が低濃度または入っていない場合とヒアルロン酸が高濃度に入っている場合だと、高濃度の方が臨床妊娠率(胎嚢が見える確率)は高かったそうです。他にも、エンブリオグルーとエンブリオグルーに組成が似ているがヒアルロン酸が入っていない培養液で出産率を比べるとエンブリオグルーの方が高かったという報告があります。これらのことから、当院でもエンブリオグルーの効果に期待し、移植時に使用しております。

 何かご質問等ございましたらお気軽に、お申し付けください。