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培養室ブログ
2020.02.10

【設備技術紹介】インキュベーターのお話

 今回は当院で使用しているインキュベーターについてお話します。

 

  インキュベーターとは、温度を一定に保つ機能を有する装置のことをいい、卵子、精子、受精卵などの配偶子や接合子を培養する際に使用しています。

 本来卵子や受精卵は生体内で発育するため、体外の異なる環境下では発育に限界があります。温度や酸素、二酸化炭素などのガス環境は体内と体外で大きく異なり、体外のガス環境では胚の成長に影響を及ぼすことが報告されているのです。そこで登場するのがインキュベーターです。インキュベーターは体内環境を再現したものであり、温度やガス濃度も体内と同じ設定となっています。

 

 下の写真が当院で使用しているインキュベーターになります。

 この培養器はタイムラプスインキュベーターといい、受精卵の培養に使用しています。

従来の受精卵の胚観察は顕微鏡下で行い、その都度に胚を外に出す必要がありましたが、この方法ですと外のガス環境下により胚への影響を避けられません。

 このタイムラプスインキュベーターは、一度に最大16個の卵子を入れることができ、内蔵されているカメラで経時的な撮影が可能となっています。その様子を外部モニターで観察することができるため、外に出して観察する必要がありません。それは胚のストレス軽減に繋がり、少しでも体内に近い環境で培養を継続させてあげることがより良い胚を発育させるポイントであることにも繋がります。

 

 体外受精での受精方法は2つあります。

一つは体外受精(IVF)といい、調整した精子を卵子に振り掛けて受精させる方法です。これには元気な精子がたくさん必要になってきます。もう一つは顕微授精(ICSI)で、ガラスピペットで精子を一つ確保し、卵子の中に注入する方法です。この方法では元気な精子が少ない場合でも施行が可能となっています。いずれかの方法で受精させた後、卵子をタイムラプスインキュベーターの中に格納します。

 

 卵子は受精が確認できると、下記写真のように2分割卵、4分割卵と細胞分裂を繰り返し、最終的に胚が膨らみ胚盤胞という状態にまで成長します。そして膨らんだ胚盤胞が周りの透明帯と呼ばれるタンパク質を脱出し、子宮に着床すると妊娠成立となるのです。この胚盤胞を凍結し、移植まで大切に保管しておきます。

 

 胚の成長ですが、個々の胚によってその成長スピードは異なり、成長の早い胚もあれば、遅い胚もあります。下記写真はタイムラプスの画像になり、同時に採卵した7個の培養卵の内で、赤枠の3個は胚盤胞にまで成長しているのに対して他の胚の成長はまだそこまで至っておりません。また同じ胚盤胞であっても、成長の度合いは個々の受精卵によっても違うのです。

 

 このタイムラプスインキュベーターでは、臨床データを基に開発されたアルゴリズムにより胚の評価ができ、同じ胚盤胞であってもその成長過程によりスコアリングで順列を付けることが可能となります。スコアが高いほど成長が良好であり、高い妊娠率の胚盤胞を選別して移植を行うことができるのです。

 このように胚の成長過程の画像を基にして評価を行うので確実かつ安心であり、培養士の培った経験値を上乗せすることでより良い胚の選別が可能となります。

 

 インキュベーターは培養の要です。

 当院では培養に力を入れることで良好な胚の獲得を目指し、皆様のお力になれるよう努めております。ブログを通して培養室の情報を知ってもらうことで、少しでも安心して治療に専念して頂けるよう、今後とも情報を発信していきますので、どうぞ宜しくお願い致します。