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培養室ブログ
2020.01.20

【お知らせ】学会参加報告

 先日、お時間をいただき学会に参加して参りました。日本臨床エンブリオロジスト学会と呼ばれる学会で、胚培養士(エンブリオロジスト)によるエンブリオロジストのため学会となっています。専門職である我々の技術をブラッシュアップすべく、御高名な先生方によって運営されており非常に多くの価値ある情報を持ち帰る事ができました。

 

 1/13の体外受精説明会では参加者の方に所感をお伝えしましたが、改めてこちらで報告とさせていただきます。

 テーマが「未来のART(体外受精)」という事で、「タイムラプスインキュベーター(新型培養器)、AI(人工知能)、着床前診断(PGT)」と機械化された医療現場がイメージされるお話が多かった事が印象的です。

 AI・機械化が産業に与える影響としては、生産性の向上や労働投入の減少などが挙げられています。体外受精の現場でも例外ではありません。

  

 これまでの培養業務では、「卵を育てる(培養)、体に戻す(移植)」といった細かいステップについて、様々な判断を主観に頼らざるを得ませんでした。

 さらに、施設間もしくはスタッフ間によって基準が変わってきてしまう問題が生じ、場合によっては1個人レベルで見ても、その日のコンディションによって判断が左右され得る可能性もあります。

 高度に機械化された培養環境は常に安定した判断基準を提供してくれるので、上記のような心配はありません。

当採用している培養器についてもお話があり、内蔵されるAIも海外のビッグデータを取り込んで更なる進化をしていくとの事で非常に楽しみです。

 

 

 講演にありましたデータを一部ご紹介します。

 上のグラフは” 染色体異常と女性年齢は相関関係にある”事を示しています。

横軸は女性の年齢、縦軸は卵の染色体の数的異常を示している事から、このグラフを見ると35歳以下ではその相関関係が弱い事が分かります。

下のグラフはAIが示すデータ(KIDScore)が高いほど(=good)染色体の数的異常の頻度が少ない(=オレンジの棒が低い)事を示しています。

 膨大なアルゴリズムとAIが提供するデータは遺伝学的情報を推定する材料にもなり得るとの事で、流産の原因となる染色体異常に対しても強力なツールとなりそうです。

さらに、卵巣機能が低下しているが比較的若い患者様においては、染色体異常以外の目には視えない判断基準を手にする事ができます。

 

 スピルバーグ監督のA.Iという映画もありましたが(凄くいい作品なのでお勧めです!)、この様なトピックでは、「どらえもんやターミネーターの世界が近づいている」なんて表現をよく耳にします。

 

“チーム医療”という言葉の通り、不妊治療成功の為には、メディカルスタッフによるチームワークが必要ですが、さらにこれからはAIと我々人間が信頼関係を築く必要があるのかもしれません。

 その為に我々培養士は機械から得られたデータを論理的に評価する力が求められる…そんな時代が来ていると感じました。