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院長ブログ
2019.08.20

社会性不妊と卵子凍結

「社会性不妊」という言葉があります。私自身はあまり好きな言葉ではないのですが、病気が原因となる「医原性不妊」に対する言葉として使用されます。すなわち、社会的な制約で産みたくても産めない状況を指し、保育所問題や、キャリアアップのためなどによる妊娠・出産時期の先送りがその一例です。

妊娠・出産は非常に個人的なことでもありますが、同時に個人の置かれている政治的・社会的環境によって左右されてしまいます。妊娠を阻まれてしまう原因として「医原性」もあれば、「社会性」もあると思われますが、それらは複雑に絡み合い、その方それぞれに難しい問題を抱えていらっしゃることも多いと思われるのです。よって、私としては、単純に「社会性」と括ってしまうことに違和感があるため、好きではない言葉なのです。

さて、妊孕性(妊娠する力)は、様々な原因により低下いたしますが、その要因のひとつが加齢による卵子の老化です。以前、ブログにアップさせていただいた、「がん生殖医療」で用いられる「医学的適応」による卵子凍結に対して、年齢による妊孕能低下に備えるための卵子凍結は、「社会的適応」による卵子凍結と呼ばれております。がん生殖医療の場合は、がん治療により卵巣機能の廃絶が予測される場合、すなわち妊娠することがおそらく不可能になってしまうような患者さんに適応されることが多いのに対し、加齢によるものは癌治療に比べれば緩やかに低下するため、より若い時点での凍結の方が効果は大きくなりますが、そもそもある年齢で突然妊娠が不可能になるわけではありません。そのような背景からか、この「社会的適応」による卵子凍結には否定的な意見も多いのも事実です。

しかしながら、私としてはその方が、ご自身のライフプランを真剣に考えたうえでこの方法に至ったのであれば、選択肢の一つになる得ると思うのです。以前、34歳以下の方を対象に浦安市との卵子凍結プロジェクトを行った際、もちろん、ご自身のキャリアアップのための妊娠の先送りを考えた卵子凍結の方もいらっしゃいましたが、がん以外のご病気による卵巣機能低下や、先天的な疾患、さらには、夫やパートナーの都合によるものなど凍結を希望される理由は多岐にわたりました。詳細はまた別の機会にしたいと思いますが、皆、それぞれにご事情があったのです。

当院ではこの卵子凍結にも対応可能ですが、自費診療となりますし、そもそも卵子凍結保存の実際を知らなければ選択肢として考えることも難しいかもしれません。費用や具体的な方法について、まずはご相談だけでも結構ですのでお気軽に受診してみてください。その上でご自身のお考えに卵子凍結が有用か否か、ご検討いただければよいと思います。