横浜、みなとみらい、不妊治療、メディカルパーク横浜



院長ブログ
2020.09.17

不妊治療の保険適応② 混合診療について

前回、皆保険制度の問題点についてお話させていただきました。今回はその続きとなります。前回は、施設や医師により、医療レベルが一定でないことを問題としてあげさせて頂きましたが、今回は、その逆に医療費の計算のもととなる保険点数が、病名と手技により一定であることを問題として挙げさせていただきたいと思います。

わかりやすいものとして、子宮筋腫核出術を例にお話したいと思いますが、妊娠を考えている患者さんにとって、子宮筋腫が妊娠の妨げになっている場合、治療として子宮を摘出することはできませんから、子宮筋腫のみを摘出する手術が筋腫核出術です。近年は腹腔鏡下に行われることも多くなり、筋腫の場所や大きさにもよりますが、不妊の鯨飲となることもあるため、体外受精と組み合わせて治療を行うこともある、婦人科領域ではよく行われる手術のひとつです。診療保険点数は37,620点であり、1点10円3換算で、37万6千2百円の手術代となるのですが、この中には使用する電気メスや腹腔鏡用のトロカール、筋腫を小さな傷から体外に出すためのモルセレーターや、子宮マニピュレーターなど高額なディスポーザブルの医療機器や手術に立ち会う医師、看護師などすべての人件費も含まれているため、実際、この金額では決して収益率が高いとは言えません。さらに、筋腫の個数が多くなったり、大きさが大きくなったりするにつれ、手術の難易度も上がりますし、手術時間も延長してしまいますが、点数は変わらず、必要なものであっても、高額な医療機器を使えばその分持ち出しになってしまうのです。もちろん、医療資源には限度があるのは事実ですので、高額な機器を湯水のように使おうという医師はいないでしょうし、赤字覚悟でしっかりとした手術を行っている医師がほとんどであり、ある意味、善意の搾取になっているようにも思うのです。

例えば、手術の難易度によって使用する機器に違いがあるとすれば、ある手術機器については患者さんの希望で購入いただき、手術料金の一部を負担していただくことも考えられるかもしれませんが、皆保険制度では、その手術に関連する医療費を一部自費で行ったとすると、“混合診療”となってしまうため、全額自費扱いとなる決まりがあります。そのため、多発筋腫に対して、あえて自費診療として腹腔鏡手術を行っている施設もあるほどなのです。

お隣韓国では、上述のような“混合診療”を行っている国であり、保険診療でカバーされる部分が決まっているため、癒着防止剤などの医療器具については、オプションとして設定されており、予め患者さんの希望によりどのようなものを使用するか、患者さんの負担で使用することになっているようです。この方法であれば、最低限の診療については保険診療として、オプションとなる部分を患者さん自身で選んでいただくことが可能となります。もちろん問題がないわけではなく、韓国のドクターに聞いたことがあるのですが、術中に機器の使用が急に必要となった場合などの対応は逆に困難となり、医療者側が負担せねばならない場合もあるそうです。

不妊治療の保険適応の話題でここまでお話してきたのですが、この“混合診療”こそ、保険適応のカギとなるのではないかと個人的には感じております。不妊治療では患者さんの背景により、プロトコルも細かく異なることも多いため、一律の保険点数にしてしまうことは難しいと考えるからです。さらに長くなりましたので、この続きはまた次回、さらに突っ込んだ話をしたいと思います。